にじいろガーデン。
小川糸さんのにじいろガーデン読了。
同性愛と家族がテーマの物語です。
小川糸さんの小説は大好きでよく読んでいて、「家族」をテーマにした内容が多いのですが、本著は今までで一番深く問題に切り込んだ力作だと思いました。
小川糸さんといえば、食べ物の描写が天才的でおいしそうな文章を書くことで有名。
けれど、本著はその技を抑えつつ、特に人物の心理描写を大切に丁寧に描いている印象を受けました。
あるがままの現代人の生活を肯定的に描いているのは初めてなのではないかなあ。
いちばん胸にささったのは同性愛者当人の子供たちの葛藤・・・。
当事者が幸せなら子供たちも笑って過ごせれる、というのはもちろんだと思うのですが、一方では彼らにとっては消化しきれない部分もあるわけで。
非常に切ない部分もあって、人物に入りこんでしまって涙がでてしまうシーンもありました。特に息子さんの章は、彼の生き苦しさが生々しく伝わってつらかった・・・。
新生活・出産・子育て・仕事・介護・死。
「にじいろガーデン」の家族も、年を経るごとにその形は少しづつかわってゆくのですが、みんなが家族を愛しているという事実はずっと変わらない。
怒涛のラストにゆくにしたがって、いろいろ考えさせられる物語でした。
おすすめです。
小川糸さんは、ブログの日記も素敵でよく拝見しています。